中央監視システムとは?ビル設備の監視・制御の仕組みとDDC・BEMSとの違い

中央監視・BEMS

一言でいうと

中央監視とは、建物内の空調設備や電気設備などの状態を、中央の監視画面でまとめて確認・操作するシステムです。設備の運転状態、温度、警報などを集約し、建物の設備管理や運用に利用されます。

中央監視とは?

中央監視システムは、建物内のさまざまな設備から情報を集め、監視画面に表示したり、対応する設備へ操作指令を送ったりするシステムです。

例えば、ビルの中央監視画面では、設備構成や計装仕様に応じて次のような情報を確認できます。

  • 空調機の運転・停止状態
  • 室内温度や給気温度
  • ファンやポンプの運転状態
  • バルブやダンパーの開度
  • 設備の警報や異常状態

設備ごとに現場へ行かなくても、管理室などから複数の設備の状態をまとめて把握できることが、中央監視の特徴です。

中央監視は何をするもの?

中央監視システムには、主に次のような役割があります。

  • 設備の運転状態を監視する
  • 温度や圧力などの計測値を表示する
  • 設備の警報を表示する
  • 対応する設備を遠隔から操作する
  • 運転スケジュールを設定する
  • 計測値や運転状態を記録する
  • 複数の設備の情報をまとめて管理する

例えば、空調機に異常が発生すると、中央監視画面に警報が表示される構成があります。管理者は警報の内容や設備の状態を確認し、現場での点検が必要かどうかを判断できます。

ただし、監視できる情報や遠隔操作できる範囲は、設備の設計やシステム仕様によって異なります。

どこで使われる?

中央監視システムは、多数の設備をまとめて管理する必要がある建物などで使用されます。

  • オフィスビル
  • 商業施設
  • 病院
  • ホテル
  • 工場
  • 学校
  • 大規模な公共施設

特に、多数の空調機や熱源設備、電気設備などを管理する建物では、中央監視によって設備の状態を一元的に把握しやすくなります。

中央監視の仕組み

中央監視システムは、設備側のコントローラなどから情報を取得し、監視画面に表示します。基本的な構成の例は次のとおりです。

センサー・設備 → DDCなどのコントローラ → 通信ネットワーク → 中央監視システム

例えば空調機の場合、温度センサーが給気温度を計測し、DDCなどのコントローラがその値を取得します。コントローラから送られた情報を中央監視システムが受信すると、給気温度や運転状態などが監視画面に表示されます。

また、システムが対応していれば、中央監視から設備へ操作指令や設定変更を送ることもできます。実際の情報の流れや役割分担は、設備仕様やシステム構成によって異なります。

中央監視システムを構成する機器

中央監視システムは、監視画面だけで動作するものではありません。現場のセンサーや設備、DDCなどのコントローラ、通信ネットワーク、中央監視サーバーや操作端末が連携して動作します。

構成要素主な役割
センサー・計測機器温度、圧力、流量などを計測する
DDC・PLC現場設備の自動制御や信号の入出力を行う
通信ネットワークコントローラと中央監視システムの間で情報を伝送する
中央監視サーバー設備情報の収集、記録、警報管理、画面表示などを行う
監視操作端末管理者が設備の状態を確認し、対応する操作を行う

すべてのシステムに同じ機器が使われるわけではありません。コントローラにサーバー機能が統合される構成や、設備メーカーの専用通信インターフェースを利用する構成もあります。

中央監視の具体例:空調機を監視する場合

例えば、ビルの空調機(AHU)を中央監視システムで管理する場合、次のような情報の流れになります。

  1. 給気温度センサーが空調機の給気温度を計測する。
  2. DDCがセンサーの計測値を取得し、温度制御を行う。
  3. DDCが給気温度やファンの運転状態などを通信ネットワークへ送信する。
  4. 中央監視システムが受信した情報を画面に表示・記録する。
  5. 管理者は温度の推移や警報を確認し、必要に応じて設備の点検や設定変更を行う。

例えば、給気温度が設定範囲から外れた場合、中央監視に警報を表示する構成があります。ただし、警報の発生条件や制御動作は、設備の制御仕様によって異なります。

このように、DDCは現場で設備を制御し、中央監視システムは建物全体の情報を集約して管理するという役割分担が基本です。

中央監視システムとBASの関係

BAS(Building Automation System)は、空調、電気、照明などの建物設備を自動制御・監視するシステム全体を指す言葉です。

中央監視システムは、BASの中で設備情報の集約、監視画面の表示、警報管理、遠隔操作などを担う部分として構成されることがあります。

ただし、中央監視、BAS、BEMSの呼び方や機能の範囲は、メーカーや建物のシステム構成によって異なります。名称だけで判断せず、実際のシステム仕様を確認することが重要です。

中央監視とDDCの違い

中央監視とDDCは関連していますが、役割が異なります。

  • DDC:現場の設備を制御するコントローラ
  • 中央監視:設備の状態をまとめて監視・操作するシステム

例えば、空調機の給気温度を制御する場合、DDCが温度センサーの値をもとに冷水バルブなどを制御します。一方、中央監視システムは、給気温度や運転状態、警報などを画面に表示し、対応する範囲で設定変更や操作を行います。

情報の流れを簡単に表すと、次のようになります。

温度センサー → DDC → 空調設備

DDCなどのコントローラ → 通信ネットワーク → 中央監視システム

DDCについて詳しくは、DDCとは?空調設備における役割と仕組みをわかりやすく解説をご覧ください。

中央監視とBACnetの関係

中央監視システムと設備側の機器が情報をやり取りする際には、BACnetなどの通信プロトコルが利用されることがあります。

  • 中央監視:設備を監視・操作するためのシステム
  • BACnet:設備機器などが情報をやり取りするための通信プロトコル

例えば、DDCが取得した給気温度をBACnet経由で中央監視システムに伝え、監視画面に表示する構成があります。ただし、実際に利用する通信方式や連携できる情報は、機器の仕様や通信設定によって異なります。

BACnetに対応している機器同士でも、接続や情報連携が必ず保証されるわけではありません。対応する通信方式、ネットワーク設定、公開されるデータ項目、各機器の対応機能などを確認する必要があります。

BACnetについて詳しくは、BACnetとは?をご覧ください。

中央監視で確認できる情報

中央監視システムで確認できる情報は、建物の設備構成や計装仕様によって異なります。空調設備では、例えば次のような情報が表示されます。

  • 室内温度・湿度
  • 給気温度・還気温度
  • ダクト内の圧力
  • バルブやダンパーの開度
  • ファンやポンプの運転状態
  • インバータの周波数
  • 設備の警報状態

これらの情報をまとめて確認することで、設備の運転状態を把握しやすくなります。ただし、計測値や開度などが画面に表示されるかどうかは、センサーや制御機器、通信設定、システムの設計によって異なります。

中央監視からできる操作

中央監視システムでは、監視だけでなく、対応する設備への遠隔操作ができる場合があります。

  • 空調機などの運転・停止
  • 温度などの設定値の変更
  • 運転モードの変更
  • 運転スケジュールの設定
  • 対応する設備の手動操作

ただし、安全上の理由や設備の運用ルールによって、中央監視からの操作範囲が制限されている場合があります。画面に表示されている設備が、必ずしもすべて遠隔操作できるとは限りません。

中央監視とBEMSの違い

中央監視とBEMSは関連するシステムですが、主な目的が異なります。

  • 中央監視:設備の状態を監視し、対応する設備の操作や管理を行う。
  • BEMS:建物のエネルギー使用状況を把握・分析し、省エネルギーやエネルギー運用の改善に活用する。

BEMSはBuilding Energy Management Systemの略称です。例えば、電力やガスの使用量、空調設備のエネルギー消費量、建物全体のエネルギー使用量の推移などを分析することがあります。

実際のシステムでは、中央監視とBEMSが連携したり、一部の機能が重なったりする場合もあります。名称だけで機能を判断せず、システムの仕様を確認することが重要です。

中央監視の異常時に確認するポイント

中央監視画面に情報が表示されない場合や、設備の状態が実際と合わない場合は、中央監視システム本体だけでなく、設備側のコントローラや通信経路なども確認する必要があります。

現象確認するポイント
温度などの計測値が更新されないセンサーの計測状態、DDCなどのコントローラ、通信状態
設備が通信異常になる通信ネットワーク、機器の電源、通信設定、コントローラの状態
運転状態が実際と合わない設備側の状態、状態信号、通信データの更新状況
遠隔操作ができない操作権限、操作制限、通信状態、設備側の制御条件
警報が表示される警報の内容、発生時刻、対象設備、設備側の状態

例えば、中央監視画面の温度が更新されない場合、センサーの故障だけでなく、DDCからの情報取得や通信に問題がある可能性も考えられます。画面の表示だけで原因を断定せず、設備仕様や保守手順に従って切り分けることが重要です。

まとめ

中央監視とは、建物内の設備情報をまとめて監視し、対応する設備の操作や管理を行うためのシステムです。

  • DDCなどのコントローラから設備情報を取得する。
  • 温度や運転状態、警報などを監視画面に表示する。
  • 対応する設備の遠隔操作や設定変更を行う。
  • BACnetなどの通信プロトコルを利用して設備機器と情報をやり取りする構成がある。
  • BEMSと連携し、エネルギー使用状況の管理に活用する構成もある。

中央監視を理解するには、現場の設備を制御するDDCと、設備情報を集約する中央監視システムの役割を区別することが重要です。

関連用語

  • DDC:現場の設備を制御するコントローラ
  • BACnet:設備機器間の通信に使われるプロトコル
  • PID制御:設定値と計測値の差などをもとに制御出力を計算する方法
  • BEMS:建物のエネルギー使用状況を把握・管理するシステム
  • BAS:建物設備の自動制御・管理に関するシステム
  • AHU:空気の温度や湿度などを調整する空調機
  • VAV:空調の風量を調整する可変風量装置
  • FCU:ファンとコイルを使って室内の空調を行う機器
  • AI・AO・DI・DO:コントローラで使われる入出力信号の種類
  • センサー:温度や圧力などの状態を計測する機器
  • 自動制御:計測値や設定条件に応じて設備を自動的に制御する仕組み
  • 通信ネットワーク:機器やシステム間で情報をやり取りするためのネットワーク

タイトルとURLをコピーしました