BEMSとは?
BEMSは「Building Energy Management System」の略で、建物のエネルギー使用状況を管理・分析するシステムです。空調、照明、電力などのデータを収集し、エネルギーの見える化や省エネ運用に活用します。
建物内の設備データを集約することで、エネルギーを多く使用している時間帯や、設備の運転状況を把握しやすくなります。ただし、収集できるデータや制御できる設備は、システムの構成によって異なります。
BEMSの主な役割
- 電力やエネルギー使用量を記録・可視化する
- 時間帯や設備ごとの使用状況を比較する
- 空調や照明などの運転状況を分析する
- 省エネにつながる運用改善の検討に役立てる
- 設備の異常や不自然なエネルギー使用を発見する手掛かりにする
BEMSは、データを表示するだけでなく、分析結果を設備の運用改善に結び付けることが重要です。導入しただけで自動的に省エネになるわけではなく、計測データの確認や運用条件の見直しが必要です。
BEMSで管理する主なデータ
| データ | 活用例 |
|---|---|
| 電力使用量 | 時間帯別・日別・月別の使用傾向を比較する |
| 空調設備の運転状態 | 運転時間や停止時間が適切か確認する |
| 温度・湿度 | 室内環境と空調運転の関係を調べる |
| 流量・圧力・差圧 | 水や空気の搬送状態を把握する |
| 設定値・制御出力 | 設備がどのような条件で運転しているか確認する |
計測点の種類や記録周期、保存期間は、設備の仕様やBEMSの設定によって異なります。
BEMSと中央監視システムの違い
BEMSと中央監視システムは、機能が重なる場合がありますが、主な目的に違いがあります。
| 項目 | 中央監視システム | BEMS |
|---|---|---|
| 主な目的 | 設備の状態を監視し、必要に応じて操作する | エネルギー使用状況を把握・分析し、運用改善に活用する |
| 主な情報 | 運転状態、温度、設定値、警報など | 電力、エネルギー使用量、設備データなど |
| 代表的な活用 | 設備の監視、警報対応、運転操作 | 使用量の比較、傾向分析、省エネ検討 |
実際の製品では、中央監視システムにBEMSの分析機能が含まれる場合や、別のシステムとして連携する場合があります。そのため、名称だけで機能を判断せず、導入するシステムの仕様を確認することが重要です。
中央監視とは?も参照してください。
BEMSとトレンドグラフの関係
トレンドグラフは、温度・圧力・流量・電力などのデータを時間軸で表示する機能です。BEMSでは、こうしたデータを分析することで、エネルギー使用状況や設備運転の変化を把握しやすくなります。
例えば、電力使用量を時間帯別に比較すれば、エネルギー消費が増える時間帯を特定する手掛かりになります。また、室温や空調機の運転状態を同時に確認すれば、快適性とエネルギー使用の関係を調べられます。
ただし、データの変化だけで原因を断定することはできません。外気温、在室状況、設備の運転条件なども合わせて確認する必要があります。
トレンドグラフとは?で詳しく解説しています。
BEMSを活用した省エネの例
1. 運転時間の見直し
設備の運転状態や電力使用量を確認し、使用状況に合わない運転時間がないか調べます。運転スケジュールを変更する場合は、建物の利用時間や必要な室内環境を考慮します。
2. エネルギー使用量の比較
日別・月別の使用量を比較すると、使用量が増えた時期や傾向を把握できます。外気温や稼働状況など、比較条件の違いにも注意が必要です。
3. 空調制御の確認
室温、設定値、バルブ開度、ポンプやファンの運転状態などを確認し、設備が想定どおりに運転しているか調べます。変更を行う際は、設備の制御仕様と快適性への影響を確認します。
BEMS導入時に確認したいポイント
- どの設備やエネルギー項目を計測できるか
- データの記録周期と保存期間は十分か
- 既存の中央監視システムや設備と連携できるか
- 設備ごと・時間帯ごとの比較ができるか
- 分析結果を運用改善に活用する担当者や手順があるか
導入目的を明確にし、必要な計測点や分析機能を決めておくと、導入後にデータを活用しやすくなります。

