熱交換効率とは?計算方法・温度効率との違いを解説

空調

熱交換効率とは、熱交換器などで熱がどの程度効率よく移動しているかを評価する際に使われる指標です。ただし、熱交換効率という言葉は機器や評価方法によって定義が異なるため、対象設備で使用している計算方法を確認することが重要です。

空調設備では、全熱交換器の温度交換効率やエンタルピー交換効率、熱交換器の性能評価などに関連して使われます。この記事では、基本的な考え方と計算例、空調設備での確認ポイントを解説します。

熱交換効率とは?

熱交換器は、2つの流体の間で熱を移動させる機器です。例えば、冷水と冷媒、温水と空気、排気と外気などの間で熱を交換します。

熱交換効率は、こうした熱の移動性能を評価するための指標として使われます。ただし、すべての熱交換器に共通する単一の計算式があるわけではありません。

空調設備では、次のような指標を区別して確認します。

  • 温度交換効率:空気などの温度がどの程度変化したかを評価する
  • エンタルピー交換効率:温度と水分の影響を含めた熱エネルギーの移動を評価する
  • 熱交換量:単位時間あたりに移動した熱量を表す
  • COP:機器の能力と消費電力の比からエネルギー効率を評価する

温度交換効率の計算方法

全熱交換器などで使われる温度交換効率は、外気と排気の温度差に対して、給気側の温度がどの程度変化したかを基に求めます。

例えば、冷房時に外気を排気で予冷する場合、一般的な顕熱の温度交換効率は次の式で表せます。

温度交換効率(%)=(外気入口温度 − 給気出口温度)÷(外気入口温度 − 排気入口温度)× 100

この式は、外気入口温度が排気入口温度より高い場合の例です。暖房時など温度条件が異なる場合は、機器の仕様書に記載された定義に従って計算します。

温度交換効率の計算例

次の条件で、外気側の温度交換効率を計算します。

  • 外気入口温度:32℃
  • 排気入口温度:24℃
  • 給気出口温度:27℃

計算式に当てはめると、次のようになります。

(32 − 27)÷(32 − 24)× 100 = 62.5%

この条件での温度交換効率は62.5%です。これは指定した入口温度と出口温度に基づく計算例であり、機器の定格性能を示すものではありません。

温度交換効率とエンタルピー交換効率の違い

温度交換効率は、主に空気の温度変化を評価します。一方、エンタルピー交換効率は、温度に加えて水分の移動による影響も含めて評価します。

比較項目温度交換効率エンタルピー交換効率
評価対象主に温度の変化温度と水分を含む熱状態
主な用途顕熱交換の評価全熱交換の評価
確認する値入口・出口の温度入口・出口の比エンタルピーなど

全熱交換器では、温度交換効率だけでは水分の移動を含めた性能を評価できません。機器の性能を比較するときは、温度交換効率とエンタルピー交換効率のどちらを示しているかを確認してください。

熱交換効率とCOPの違い

熱交換効率とCOPは、どちらも設備性能の評価に関係しますが、同じ指標ではありません。

COPは、冷房・暖房能力を消費電力で割って求める成績係数です。一方、熱交換器の温度交換効率などは、入口と出口の状態変化を基に熱交換性能を評価します。

そのため、温度交換効率が高い機器だからといって、設備全体のCOPも必ず高くなるとは限りません。ファンやポンプの消費電力、圧力損失、制御方法なども関係します。

空調設備での利用例

全熱交換器

全熱交換器は、排気と外気の間で熱と水分を交換し、外気負荷を軽減するために使われます。性能を確認する際は、温度交換効率だけでなく、エンタルピー交換効率や風量、圧力損失も確認します。

熱交換器・コイル

冷水コイルや温水コイルなどでは、流体と空気の間で熱が移動します。入口・出口温度、流量、伝熱面積、汚れの状態などを確認することで、熱交換性能の変化を把握できます。

中央監視での運転確認

中央監視システムで温度や流量などを監視している場合、入口・出口の状態を比較することで、熱交換器の運転状況を把握する手がかりになります。ただし、測定値だけで効率を判断せず、風量・流量や運転条件がそろっているかを確認する必要があります。

熱交換性能が低下する主な原因

  • 熱交換面への汚れや目詰まり
  • 設計条件と異なる風量・流量
  • 入口側の温度条件の変化
  • 空気や水の流れを妨げる圧力損失の増加
  • センサーの誤差や測定位置の違い

効率が低下したように見える場合は、機器の故障と決めつけず、入口温度・出口温度、風量・流量、フィルターや熱交換面の汚れ、センサーの状態などを順に確認します。

熱交換効率を比較するときの注意点

  • メーカーや規格による定義の違いを確認する
  • 温度交換効率とエンタルピー交換効率を混同しない
  • 入口・出口の温度や流量など、比較条件をそろえる
  • 機器単体の性能と設備全体の省エネ性能を区別する
  • 仕様書に記載された測定条件や試験方法を確認する

まとめ

熱交換効率は、熱交換器などの熱移動性能を評価する際に使われる指標ですが、機器によって定義や計算方法が異なります。空調設備では、温度交換効率、エンタルピー交換効率、COPなどを区別して確認することが重要です。

性能を比較したり、運転状態を診断したりする際は、数値だけで判断せず、評価指標の定義と測定条件をそろえて検討してください。

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