
CO2センサーとは、空気中の二酸化炭素(CO2)濃度を測定するセンサーです。ビルや工場の空調設備では、室内や空調ダクト内のCO2濃度を監視し、換気量の調整や室内環境の管理に利用されます。
例えば、会議室などで人が増えると、呼気によって室内のCO2濃度が上昇することがあります。CO2センサーで濃度を測定し、その値に応じて換気設備を制御することで、必要な換気を行いやすくなります。
この記事では、CO2センサーの仕組みや測定原理、設置場所、中央監視システムとの関係、空調設備での活用方法を解説します。
1. CO2センサーとは
CO2センサーは、空気中に含まれる二酸化炭素の濃度を測定する機器です。測定値は一般的にppm(百万分率)で表されます。
空調設備では、CO2濃度を室内の換気状態を把握するための指標として利用します。ただし、CO2濃度だけで空気中のすべての汚染物質や空気質を評価できるわけではありません。
CO2センサーの主な用途
- オフィスや会議室のCO2濃度監視
- 学校や商業施設などの換気管理
- 空調ダクト内のCO2濃度測定
- CO2濃度に応じた換気量の制御
- 中央監視システムでの室内環境の見える化
2. CO2濃度の単位「ppm」とは
CO2濃度は、ppm(parts per million)という単位で表します。1ppmは、100万分の1に相当します。
例えば、CO2濃度が1,000ppmの場合、空気中のCO2が体積比で約0.1%に相当することを示します。
CO2濃度は、在室人数、活動内容、換気量、外気の状態などによって変化します。そのため、濃度の数値だけで判断するのではなく、建物の用途や適用される管理基準、換気設備の仕様などを踏まえて評価することが重要です。
3. CO2センサーの測定原理
建物の空調設備で使用されるCO2センサーには、NDIR方式(非分散型赤外線吸収法)が広く採用されています。
NDIR方式とは
NDIR方式は、二酸化炭素が特定の波長の赤外線を吸収する性質を利用して、CO2濃度を測定する方式です。
- センサー内部の赤外線光源から光を照射する
- 測定対象の空気を通過した赤外線を検出する
- CO2による赤外線の吸収量を測定する
- 検出した信号からCO2濃度を算出する
一般に、測定対象のCO2濃度が高くなると、特定波長の赤外線の吸収量が増加します。センサーはこの変化を利用して濃度を求めます。
NDIR方式の特徴
- CO2が特定波長の赤外線を吸収する性質を利用する
- 空調・換気用途のCO2濃度測定に広く使用される
- 製品によって測定範囲、精度、応答速度、校正方式が異なる
なお、CO2センサーには複数の測定方式があり、すべての製品がNDIR方式というわけではありません。用途や必要な精度に応じて、製品仕様を確認します。
4. CO2センサーの設置場所
CO2センサーは、何を測定・制御したいかによって設置場所が異なります。空調設備では、室内の壁面や空調ダクト内などに設置する方法があります。
室内に設置する場合
会議室やオフィスなどの壁面に設置し、室内のCO2濃度を測定します。室内の換気状態を把握したり、換気設備の制御に利用したりします。
設置する際は、人の呼気が直接当たる場所や、窓・出入口・給気口の近くなど、測定値に偏りが生じやすい場所を避け、測定目的に適した位置を選定します。
空調ダクト内に設置する場合
空調機の給気ダクトや還気ダクトなどに設置し、ダクト内を流れる空気のCO2濃度を測定します。
ダクト内の測定では、空気の流れや測定対象の空気の種類を考慮し、製品の設置条件に従って取り付けます。室内用とダクト用では、構造や設置方法が異なる場合があります。
5. CO2センサーと中央監視システムの関係
ビルの空調設備では、CO2センサーの測定値を空調コントローラーや中央監視システムに取り込み、換気設備の制御や室内環境の監視に利用することがあります。
- CO2センサーが空気中のCO2濃度を測定する
- 測定値をアナログ信号やデジタル通信などで伝送する
- 空調コントローラーが測定値を取得する
- 設定された制御条件に応じて換気設備を制御する
- 中央監視システムで測定値や設備の状態を確認する
出力方式には、製品に応じて電圧信号、電流信号、通信方式などがあります。例えば、0~10Vや4~20mAなどのアナログ信号を使用する製品もありますが、対応する信号方式は機種ごとに確認が必要です。
中央監視システムでは、CO2濃度のトレンドを記録することで、時間帯や在室状況による変化を把握することもできます。
6. CO2濃度に応じた換気制御
CO2センサーを利用した制御方法の一つに、CO2濃度に応じて換気量を調整する需要制御換気があります。
CO2濃度が高くなった場合
CO2濃度が設定された条件を上回った場合、制御ロジックに従って換気量を増やすことがあります。外気導入量や送風機の運転を調整し、室内のCO2濃度を管理します。
CO2濃度が低くなった場合
CO2濃度が低下した場合、必要な換気量を確保しながら、換気風量を減らす制御が考えられます。これにより、外気の導入に伴う冷暖房負荷を抑えられる場合があります。
ただし、換気量はCO2濃度だけで決められるものではありません。建物の用途、在室人数、必要換気量、適用法令、設備の制御条件などを考慮する必要があります。
7. CO2センサーを導入するメリット
換気状態を把握できる
CO2濃度を数値で確認することで、室内の換気状態を把握するための参考情報が得られます。中央監視システムと連携すれば、複数の部屋やエリアの状態をまとめて確認できます。
換気設備を効率的に制御できる
需要制御換気では、室内の状態に応じて換気量を調整できます。適切な制御設計と運用により、必要な換気を確保しながら空調負荷を抑えられる場合があります。
測定データを設備管理に活用できる
測定値を記録することで、CO2濃度の時間変化や、換気設備の運転状況を分析できます。設備の運用改善や異常の把握に役立つ場合があります。
8. CO2センサーの選定・保守で注意すること
測定範囲と精度
使用環境で想定されるCO2濃度に対応しているか、必要な測定精度を満たしているかを確認します。
出力信号と通信方式
空調コントローラーや中央監視システムとの接続に適した出力信号、通信プロトコル、電源仕様を確認します。
設置環境
温度、湿度、粉じん、気流などの環境条件が測定値やセンサーの耐久性に影響する場合があります。製品の仕様に合った場所に設置します。
校正と経年変化
長期間の使用により、測定値にずれが生じる場合があります。自動校正機能の有無や動作条件を確認し、メーカーの推奨に従って点検・校正を行います。
CO2濃度だけで空気質を判断しない
CO2濃度は換気状態を把握するための有用な指標ですが、粉じん、臭気、VOCなど、ほかの要素を直接評価するものではありません。必要に応じて、温度・湿度センサーやほかの空気質センサーと組み合わせて管理します。
9. よくある質問
CO2センサーとガスセンサーの違いは何ですか?
ガスセンサーは、さまざまな気体を検出するセンサーの総称です。CO2センサーは、その中でも二酸化炭素の濃度測定を目的としたセンサーです。
CO2センサーは空調設備のどこに設置しますか?
室内のCO2濃度を測定する場合は室内の壁面など、ダクト内の空気を測定する場合は空調ダクト内などに設置します。測定目的と製品の設置条件に合わせて選定します。
CO2センサーだけで換気量を決められますか?
CO2濃度は換気制御の判断材料になりますが、必要換気量や制御条件は建物の用途、在室人数、適用される基準なども踏まえて設定する必要があります。
10. まとめ
CO2センサーは、空気中の二酸化炭素濃度を測定し、室内環境の監視や空調・換気制御に利用される機器です。
空調設備では、NDIR方式などのセンサーで測定した値をコントローラーや中央監視システムに取り込み、換気量の調整や環境データの記録に活用します。
導入時には、測定範囲、精度、設置場所、出力信号、校正方法などを確認し、設備の用途に合った製品を選定することが重要です。

