DDCとは?空調設備における仕組みと役割をわかりやすく解説

設備用語

DDC(Direct Digital Controller)とは、センサーで測定した温度や圧力などの情報をもとに、空調設備の機器を自動制御するデジタル制御装置です。空調機の温度調節やバルブの開度制御などに使われ、設定値と測定値の差に応じて制御出力を調整します。

この記事では、DDCの仕組みや役割、AI・AO・DI・DOの入出力信号、中央監視装置やPLCとの違いを解説します。

一言でいうと

DDCとは、空調設備などを自動制御するデジタルコントローラです。温度・湿度・圧力などをセンサーから取得し、その情報をもとにバルブやダンパー、インバータなどの機器を制御します。

DDCとは?

DDCは、Direct Digital Controllerの略称です。空調設備では、センサーで計測した温度や圧力などをもとに、空調機器を自動制御するために使用されます。

例えば、給気温度を15℃に保つ設備では、DDCが温度センサーの計測値と設定値を比較し、その差に応じて冷水バルブなどの制御出力を調整します。

DDCは、計測値を取得するだけでなく、設定された制御プログラムに従って設備を動かす役割を担います。

DDCは何をするもの?

DDCには、主に次のような役割があります。

  • センサーから温度・湿度・圧力などの計測値を取得する
  • 設定値と計測値を比較する
  • 制御プログラムに従って必要な制御出力を計算する
  • バルブやダンパー、インバータなどへ制御信号を出す
  • 機器の運転・停止や連動制御を行う
  • 機器の状態や警報情報を取得する
  • 対応する通信方式を利用して中央監視システムなどと情報をやり取りする

実際に利用できる機能は、DDCの機種やプログラム、入出力構成、システム設計によって異なります。

空調機でDDCが制御する具体例

空調機(AHU)で冷水コイルを使い、給気温度を調整する例を紹介します。給気温度の設定値を15℃とした場合、基本的な制御の流れは次のとおりです。

  1. 温度センサーが、空調機から送り出す空気の温度を計測する。
  2. DDCがセンサーの計測値を取得する。
  3. DDCが計測値と設定値15℃を比較する。
  4. 制御プログラムに従って、冷水バルブに必要な制御出力を計算する。
  5. DDCが電動弁へ制御信号を出し、冷水の流量を調整する。
  6. 給気温度の変化を再び計測し、必要に応じて制御を繰り返す。

例えば、給気温度が設定値より高い場合、冷却能力を高めるために冷水バルブの開度を大きくする制御が考えられます。ただし、実際の制御動作は、制御方式やバルブの仕様、設備の運転条件によって異なります。

DDCに異常があるときの確認ポイント

空調設備が設定どおりに動かない場合、原因がDDC本体にあるとは限りません。センサー、配線、制御出力、制御対象機器などを順番に確認して原因を切り分けます。

冷水バルブが開かない場合の確認例

確認箇所確認する内容
センサー温度が正しく計測されているか
入力信号DDCがセンサーの値を正しく取得できているか
制御設定設定値や運転条件、制御プログラムが適切か
出力信号DDCから電動弁へ適切な信号が出ているか
電動弁信号に応じて弁やアクチュエータが動作しているか
設備側冷水が供給されているか、必要な運転条件が満たされているか

計測値から実際の機器動作まで順番に確認すると、異常箇所を絞り込みやすくなります。点検時は、機器の仕様書や現場の安全手順に従ってください。

DDCはどこで使われる?

DDCは、建物の空調設備や自動制御設備などで使用されます。代表的な対象には、次のようなものがあります。

  • 空調機(AHU)
  • VAV(可変風量装置)
  • FCU(ファンコイルユニット)
  • 送風機や排気ファン
  • ポンプ
  • 冷凍機などの熱源設備
  • 給排気設備

例えば、空調機では給気温度に応じて冷水バルブを制御したり、ダクト内静圧に応じてインバータの周波数を調整したりします。実際にDDCが担当する範囲は、設備の設計や制御方式によって異なります。

DDCの仕組み

DDCによる基本的な制御は、次の流れで行われます。

センサー → DDC → 制御対象機器

センサーが温度などを計測し、DDCがその値を取得します。DDCは設定値や制御条件をもとに出力を決め、バルブやインバータなどを動かします。機器の動作によって状態が変化すると、再びセンサーで計測し、次の制御に反映します。

このように、制御結果を再び計測して出力に反映する仕組みをフィードバック制御といいます。DDCでは、設備の仕様に応じてPID制御などの演算を実行することがあります。

DDCと中央監視の違い

DDCと中央監視システムは、役割が異なります。

  • DDC:現場の設備を制御するコントローラ
  • 中央監視システム:建物内の設備情報をまとめて監視・操作するシステム

例えば、中央監視画面に空調機の給気温度や運転状態が表示されている場合、DDCなどの設備側コントローラから情報を取得している構成があります。

DDCと中央監視を組み合わせたシステム構成

給気温度を中央監視画面に表示する構成の例は、次のとおりです。

温度センサー → DDC → 通信ネットワーク → 中央監視システム

  • 温度センサー:空調機の給気温度を計測する。
  • DDC:温度情報を取得し、設定された制御プログラムに従って設備を制御する。
  • 通信ネットワーク:DDCと中央監視システムの間で情報をやり取りする。
  • 中央監視システム:温度や運転状態を画面に表示し、対応する機能の範囲で設定変更や操作を行う。

DDCが現場の制御を担当し、中央監視システムが設備全体の監視・管理を担う構成が一般的です。ただし、具体的な役割分担は設備の設計やシステム仕様によって異なります。

中央監視との通信が止まると空調は止まる?

中央監視システムとの通信が停止しても、DDC側で制御プログラムが動作し続ける構成であれば、現場の自動制御を継続できる場合があります。一方、通信に依存する機能やシステム構成によって影響は異なります。通信停止時の動作は、設備仕様やメーカーの資料で確認する必要があります。

中央監視について詳しくは、中央監視とは?空調設備をまとめて監視・操作するシステムをわかりやすく解説をご覧ください。

DDCとPID制御の関係

DDCでは、PID制御などの制御演算を実行する構成があります。DDCは制御を実行するコントローラであり、PID制御は制御出力を計算するための方法です。

例えば、給気温度を15℃に保つ場合、DDCが温度センサーの計測値と設定値を比較し、PID制御によって冷水バルブを調整するための制御出力を計算します。

それぞれの役割は次のとおりです。

  • DDC:センサーの値を取得し、制御プログラムを実行して出力信号を送る。
  • PID制御:設定値と計測値の差やその変化をもとに、制御出力を計算する。
  • 電動弁:制御信号に応じて弁の開度を調整し、冷水の流量を変える。

ただし、DDCで利用できる制御演算や機能は、機器の仕様や制御プログラムによって異なります。

PID制御について詳しくは、PID制御とは?空調設備で使われる制御方法をわかりやすく解説をご覧ください。

DDCとBACnetの関係

DDCは、BACnetなどの通信プロトコルを利用して、中央監視システムや他の設備機器と情報をやり取りすることがあります。

  • DDC:設備を制御するコントローラ
  • BACnet:ビル設備などの間で情報をやり取りするための通信プロトコル

例えば、DDCが取得した給気温度をBACnet経由で中央監視システムに提供し、監視画面に表示する構成があります。実際にやり取りできる情報は、機器の機能や通信設定、中央監視システムの対応範囲によって異なります。

BACnetに対応していれば必ず接続できる?

DDCと中央監視システムの両方がBACnetに対応していても、接続や情報連携が必ず保証されるわけではありません。使用する通信方式、ネットワーク設定、対応機能、公開されるデータ項目などを確認する必要があります。

例えば、BACnet/IPを使用する構成では、IPアドレスなどのネットワーク設定も関係します。機器選定やシステム設計では、メーカーの仕様書や接続条件を確認することが重要です。

BACnetについて詳しくは、BACnetとは?をご覧ください。

DDCとPLCの違い

DDCとPLCは、どちらも設備を自動制御するためのコントローラです。一般的には、DDCはビルの空調・設備制御で、PLCは産業機械や生産設備の制御で使われることが多いですが、用途が完全に分かれているわけではありません。

PLCで空調設備を制御する場合もあれば、DDCで機器の運転・停止や連動制御を行う場合もあります。

DDCとPLCの比較

比較項目DDCPLC
主な用途ビルの空調・設備自動制御で使われることが多い産業機械・設備の自動制御で使われることが多い
制御の例温度調整、バルブ開度制御、空調機制御運転順序制御、機器の連動、起動・停止制御
制御方式PID制御などの連続的な制御、機器の運転制御シーケンス制御や連続的な制御など
通信・監視BACnetなどを利用して中央監視と連携する構成がある用途に応じた産業用ネットワークや上位システムと連携する構成がある

これらは一般的な傾向であり、DDCとPLCの機能が明確に分かれているわけではありません。採用するコントローラは、必要な制御機能、入出力点数、通信方式、保守性、メーカーの対応範囲などを踏まえて選定します。

DDCの入力・出力

DDCは、センサーなどから入力信号を受け取り、その情報をもとに制御出力を送ります。例えば、温度センサーから温度を取得し、DDCが制御を行い、電動弁へ信号を出して開度を調整する構成があります。

DDCなどのコントローラでは、入出力信号を次のように分類することがあります。

略号名称概要
AIアナログ入力温度や圧力などを表す連続的な信号を入力する。
AOアナログ出力バルブ開度やインバータ周波数などの調整に使う信号を出力する。
DIデジタル入力運転状態や接点信号などを入力する。
DOデジタル出力機器の起動・停止などに使う信号を出力する。

実際に使用できる信号の種類や電気的な仕様は、DDCの機種や入出力モジュールによって異なります。

まとめ

DDCは、センサーから取得した情報をもとに、空調設備などを自動制御するデジタルコントローラです。

  • 温度・湿度・圧力などの計測値を取得する。
  • 設定値や制御条件に応じて、バルブやダンパー、インバータなどを制御する。
  • PID制御などの制御演算を実行する構成がある。
  • BACnetなどを利用して中央監視システムと連携する構成がある。

DDCの役割を理解すると、PID制御、センサー、電動弁、中央監視、BACnetなど、空調計装に関する用語のつながりを理解しやすくなります。

関連用語

  • PID制御:設定値と計測値の差などをもとに制御出力を計算する方法
  • 中央監視:建物内の設備をまとめて監視・操作するシステム
  • BACnet:設備機器間の通信に使われるプロトコル
  • AHU:空気の温度や湿度などを調整する空調機
  • VAV:空調の風量を調整する可変風量装置
  • FCU:ファンとコイルを使って室内の空調を行う機器
  • センサー:温度や圧力などの状態を計測する機器
  • AI・AO・DI・DO:コントローラで使われる入出力信号の種類
  • 電動弁:電気信号によって弁の開度を調整する機器
  • インバータ制御:インバータでモーターの回転数を調整する制御

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