この用語のポイント
ダクトとは、空調設備などで空気を目的の場所まで運ぶための通路です。
空調機で冷却・加熱された空気を室内へ送ったり、室内の空気を空調機へ戻したり、屋外の外気を建物内へ取り入れたりするために使われます。
空調設備では、ダクトの大きさや形状、風量、風速、静圧などを考慮して設計します。
簡単に書くと
ダクトは「空気の通り道」です。
例えば、
空調機 → 給気ダクト → 吹出口 → 室内
という経路で空気を運びます。
また、室内の空気を空調機へ戻す場合には、
室内 → 還気ダクト → 空調機
という流れになります。
空調設備の中では、空気を必要な場所へ届けるための重要な設備です。

ダクトの役割
ダクトには、主に次のような役割があります。
・空調された空気を室内へ送る
・室内の空気を空調機へ戻す
・屋外から外気を取り入れる
・室内の空気を屋外へ排出する
つまり、ダクトは建物内の空気を目的の場所へ搬送するために使用されます。
ダクトの種類
ダクトには、形状や用途によってさまざまな種類があります。
角ダクト
角ダクトは、断面が四角形になっているダクトです。
オフィスビルや商業施設などの空調設備で広く使われています。
建物の天井裏など、限られたスペースに合わせて設置しやすいという特徴があります。
丸ダクト
丸ダクトは、断面が円形になっているダクトです。
円形のため、空気を効率よく流しやすく、換気設備や空調設備などで使用されます。
用途や設置スペースに応じて、角ダクトと使い分けられます。
フレキシブルダクト
フレキシブルダクトは、曲げることができる柔軟なダクトです。
吹出口や吸込口の周辺など、通常のダクトでは接続しにくい場所に使用されることがあります。
ただし、曲げすぎたり長く使用したりすると、圧力損失が大きくなる場合があります。
給気ダクトとは
給気ダクトは、空調機などで処理した空気を室内へ送るためのダクトです。
例えば、
AHU → 給気ダクト → 吹出口 → 室内
という経路で空気を搬送します。
空調機から送られた空気を各部屋や各エリアへ分配する役割があります。
AHUは、空気を冷却・加熱・加湿などして建物内へ供給する代表的な空調機です。
還気ダクトとは
還気ダクトは、室内の空気を空調機などへ戻すためのダクトです。
例えば、
室内 → 還気ダクト → AHU
という流れになります。
戻ってきた空気を還気と呼びます。
空調システムによっては、還気に屋外から取り入れた外気を混合して、再び空調機で処理します。
外気ダクトとは
外気ダクトは、屋外の空気を建物内へ取り入れるためのダクトです。
建物内の換気を行うためには、必要な量の外気を取り入れる必要があります。
空調機では、還気と外気を混合して処理する方式もあります。
そのため、外気ダクトは換気と空調の両方に関係する重要な設備です。
排気ダクトとは
排気ダクトは、建物内の空気を屋外へ排出するためのダクトです。
例えば、
室内 → 排気ダクト → 排気ファン → 屋外
という経路で空気を排出します。
トイレや厨房、機械室など、屋外への排気が必要な場所で使用されます。
ダクトと風量の関係
ダクトを設計するときには、必要な風量を考える必要があります。
風量とは、一定時間に流れる空気の量です。
ダクト内の風量と風速には、次の関係があります。
風量 = 風速 × ダクトの断面積
例えば、ダクトの断面積が0.5m²、風速が4m/sの場合、
0.5 × 4 = 2m³/s
となります。
1時間あたりに換算すると、
2 × 3,600 = 7,200m³/h
となります。
そのため、ダクトのサイズを決めるときには、必要な風量と適切な風速を考慮します。
詳しくは風量の記事でも解説しています。
ダクトと風速の関係
ダクトの断面積が小さいと、同じ風量でも風速は高くなります。
反対に、断面積が大きくなると風速は低くなります。
例えば、同じ3,600m³/hの風量を流す場合でも、
・小さいダクト → 風速が高い
・大きいダクト → 風速が低い
という違いが生じます。
風速が高すぎると、騒音や圧力損失などの問題につながる可能性があります。
そのため、ダクトサイズは必要な風量だけでなく、適切な風速も考慮して決定します。
ダクトと静圧の関係
空気がダクト内を流れると、ダクトの壁面との摩擦や曲がり、分岐、ダンパーなどによって圧力損失が発生します。
この圧力損失が大きくなると、送風機にはより大きな静圧が必要になります。
例えば、
ダクトが長い
↓
曲がりや分岐が多い
↓
圧力損失が大きくなる
↓
必要な送風機の静圧が大きくなる
という関係になります。
そのため、空調設備ではダクトの設計と送風機の選定を別々に考えることはできません。
静圧についても、ダクトを理解するうえで重要な用語です。
ダクトとVAVの関係
VAVは、空調エリアごとの風量を調整するための装置です。
VAVでは、ダクト内に設置したダンパーの開度を調整することで、各エリアへ送る風量を変化させます。
例えば、冷房負荷が大きいエリアでは風量を増やし、負荷が小さいエリアでは風量を減らすといった制御が行われます。
そのため、
ダクト
↓
VAV
↓
吹出口
↓
室内
という関係で、各エリアへの空気の供給量を調整することができます。
VAVは、ダクトを利用した空調制御を理解するうえで重要な設備です。
ダクトとダンパー
ダンパーは、ダクト内の空気の流れを調整するための装置です。
開度を変えることで、空気の流量を調整したり、流れを遮断したりします。
VAVのほか、外気・還気・排気の調整などにも使われます。
自動制御する場合には、ダンパーアクチュエータを使って開度を調整します。
ダンパーアクチュエータは、ダンパーを電動で動かすための駆動装置です。
ダクトの圧力損失
ダクト内を空気が流れると、さまざまな要因によって圧力損失が発生します。
主な要因には、
・ダクトの長さ
・ダクト内の風速
・曲がり
・分岐
・ダンパー
・フィルター
・吹出口
などがあります。
特に風速が高くなると、圧力損失が大きくなる傾向があります。
そのため、必要な風量を確保しながら、過度に風速を高くしないことも重要です。
ダクトの保温
空調設備のダクトでは、必要に応じて保温材を施工します。
特に冷たい空気を送るダクトでは、ダクト表面の温度が周囲の空気より低くなることがあります。
このとき、条件によっては結露が発生する可能性があります。
保温には、熱の移動を抑えるだけでなく、結露を防ぐ目的もあります。
具体的な仕様は、建物の用途や設備条件などに応じて決定されます。
ダクトの設計で考えること
ダクトを設計するときには、単純に空気が通ればよいというわけではありません。
主に次のような項目を考慮します。
・必要な風量
・風速
・ダクトサイズ
・圧力損失
・騒音
・設置スペース
・保温
・メンテナンス性
・空気の分配バランス
これらを総合的に考えて、適切なダクト経路やサイズを決定します。
ダクトと中央監視・自動制御
ダクトそのものを中央監視システムから直接操作するわけではありませんが、ダクトに設置されたVAVやダンパー、センサーなどは自動制御の対象になることがあります。
例えば、
センサー
↓
DDC
↓
VAV・ダンパー
↓
風量調整
という制御が行われます。
また、設備の状態や測定値を中央監視システムへ送信することで、空調設備の状態をまとめて監視することもできます。
DDCは、こうした空調設備の自動制御を行うコントローラです。
よくある疑問
Q. ダクトとは何ですか?
A. 空調や換気で、空気を目的の場所まで運ぶための通路です。
Q. ダクトにはどのような種類がありますか?
A. 形状では角ダクトや丸ダクト、用途では給気ダクト・還気ダクト・外気ダクト・排気ダクトなどがあります。
Q. 給気ダクトと還気ダクトの違いは何ですか?
A. 給気ダクトは空調機から室内へ空気を送るためのダクト、還気ダクトは室内の空気を空調機へ戻すためのダクトです。
Q. ダクトの大きさは何で決まりますか?
A. 必要な風量、風速、圧力損失、設置スペースなどを考慮して決定します。
Q. ダクトが細いとどうなりますか?
A. 同じ風量を流す場合、ダクトの断面積が小さいほど風速が高くなります。圧力損失や騒音が大きくなる可能性もあります。
Q. ダクトとVAVはどのような関係ですか?
A. VAVはダクト内に設置され、ダンパーの開度を調整することで各エリアへの風量を制御します。
Q. ダクトと静圧は関係ありますか?
A. 関係があります。ダクト内の摩擦や曲がり、分岐などによって圧力損失が発生するため、送風機には必要な静圧が求められます。
Q. ダクトに保温材を付けるのはなぜですか?
A. 熱の移動を抑えたり、冷たい空気を通すダクトで結露が発生するのを防いだりするためです。
関連用語
・風量
・風速
・静圧
・VAV
・CAV
・AHU
・DDC

