この用語のポイント
コイルとは、空調設備で空気を冷却したり加熱したりするための熱交換器です。
コイルの内部には冷水・温水・冷媒などが流れ、その周囲を空気が通過することで熱交換を行います。
冷たい水を使って空気を冷やすものを冷却コイル、温かい水などを使って空気を暖めるものを加熱コイルと呼びます。
AHUやFCUなどの空調機器に組み込まれ、空調設備の温度制御に重要な役割を持っています。

簡単に書くと
コイルは「空気と水などの間で熱をやり取りする機器」です。
冷房の場合は、
冷水
↓
コイル
↓
空気から熱を奪う
↓
冷たい空気
という流れになります。
暖房の場合は、
温水
↓
コイル
↓
水の熱を空気へ与える
↓
暖かい空気
という流れになります。
空気と冷温水が直接混ざるのではなく、コイルの金属部分を介して熱だけを移動させます。
コイルの基本的な仕組み
コイルは、主にチューブとフィンから構成されています。
チューブの内部には冷水や温水などの流体が流れます。
その周囲にはフィンが取り付けられており、空気と接触する面積を増やしています。
空気がフィンの間を通過すると、チューブ内の流体と空気の間で熱交換が行われます。
基本的な流れは、
冷温水などがコイル内部を流れる
↓
空気がコイルを通過する
↓
熱が移動する
↓
空気の温度が変化する
というものです。
冷却コイルとは
冷却コイルは、空気を冷却するためのコイルです。
一般的な空調設備では、冷凍機(チラー)などで作られた冷水をコイルへ送り、空気を冷却します。
例えば、
冷水 7℃
↓
冷却コイル
↓
空気から熱を奪う
↓
冷たい空気
という流れになります。
AHUでは、室内へ送る空気を冷却するために冷却コイルが使われます。
加熱コイルとは
加熱コイルは、空気を暖めるためのコイルです。
温水や蒸気などをコイルへ流し、冷たい空気へ熱を与えます。
例えば、
温水 50〜60℃
↓
加熱コイル
↓
空気へ熱を与える
↓
暖かい空気
という流れになります。
冬期の暖房や外気の加熱などに使用されます。
冷温水とコイルの関係
冷温水方式の空調設備では、コイルと冷温水配管がセットで使用されます。
冷房時には冷水をコイルへ送り、暖房時には温水をコイルへ送ります。
基本的には、
熱源機
↓
ポンプ
↓
配管
↓
コイル
↓
空気を冷却・加熱
↓
戻り配管
↓
熱源機
という循環になります。
冷水や温水については冷温水の記事でも解説しています。
コイルとAHU
AHU(エアハンドリングユニット)には、冷却コイルや加熱コイルが組み込まれています。
AHUでは、
外気・還気
↓
フィルター
↓
冷却・加熱コイル
↓
送風機
↓
給気ダクト
↓
室内
というような流れで空気を処理します。
コイルで空気の温度を調整し、送風機で必要な場所へ送ります。
AHUは、コイルを理解するうえで重要な空調設備です。
コイルとFCU
FCU(ファンコイルユニット)にもコイルが使用されます。
FCUでは、冷水や温水をコイルへ流し、そのコイルを通過する空気を冷却・加熱します。
基本的な仕組みはAHUと似ていますが、FCUは個別の部屋やエリアの空調に使用されることが多い点が特徴です。
FCUについても、コイルとの関係を確認すると理解しやすくなります。
コイルと風量の関係
コイルでは、空気が通過する量も重要です。
風量が変化すると、コイルを通過する空気の量も変わるため、熱交換量にも影響します。
例えば、
風量が増える
↓
コイルを通過する空気が増える
↓
必要な熱交換量も変化する
という関係があります。
そのため、コイルを選定するときには、必要な風量や空気の入口・出口温度などを考慮します。
風量は、コイルを理解するうえでも重要な用語です。
コイルと冷水・温水の流量
コイル側を流れる冷水や温水の流量も熱交換に影響します。
例えば、冷房時に冷水の流量を調整すると、コイルで空気から奪う熱量を調整できます。
そのため、空調設備ではコイルへ流れる冷温水の流量をバルブなどで制御することがあります。
空気側の風量と水側の流量の両方を考えることが、適切な空調制御につながります。
コイルと電動弁
冷温水コイルの水量を自動的に調整する場合、電動弁が使われることがあります。
例えば、
室内温度をセンサーで測定
↓
DDCが設定値と比較
↓
電動弁の開度を調整
↓
コイルへ流れる冷温水の量を変更
↓
空調能力を調整
という制御ができます。
電動弁は、コイルの自動制御に関係する代表的な機器です。
2方弁と3方弁
コイルへ流れる冷温水を制御するために、2方弁や3方弁が使われることがあります。
2方弁は、弁の開度を変えることでコイルへ流れる水量を調整する方式などに使用されます。
3方弁は、流路を切り替えたり、温水などを混合したりする用途に使用されます。
どちらを使用するかは、空調システムの構成や制御方式によって異なります。
コイルのフィンとは
フィンは、コイルの熱交換面積を増やすための薄い金属板です。
空気がフィンの間を通過することで、チューブ内を流れる冷温水などとの熱交換を行います。
フィンの表面積を大きくすることで、限られたスペースでも効率的に熱交換できるようにしています。
一方で、フィンにほこりが付着すると空気が通りにくくなったり、熱交換性能に影響したりすることがあります。
コイルの汚れ
コイルは長期間使用すると、フィンなどにほこりや汚れが付着することがあります。
汚れが蓄積すると、
・空気が通りにくくなる
・圧力損失が増える
・熱交換性能が低下する可能性がある
・送風機への負荷が増える可能性がある
などの問題につながる場合があります。
そのため、空調機の点検ではコイルの状態を確認することがあります。
コイルとフィルターの関係
コイルの汚れを抑えるためには、フィルターの管理も重要です。
空気中のほこりなどをフィルターで捕集することで、コイルへ到達する粒子を減らすことができます。
基本的には、
外気・還気
↓
フィルター
↓
コイル
↓
送風機
↓
室内
という順序で空気を処理します。
フィルターが目詰まりすると風量や圧力損失にも影響するため、フィルターとコイルはセットで管理することが重要です。
コイルと結露
冷却コイルでは、空気中の水分が結露することがあります。
例えば、湿った空気が冷却コイルを通過して露点温度以下まで冷却されると、空気中の水分が液体の水としてコイル表面に付着します。
そのため、冷却コイルの下部にはドレンパンを設け、発生した結露水を排水します。
冷房時の空調機では、温度だけでなく湿度の処理にもコイルが関係しています。
コイルの点検・メンテナンス
コイルを適切に使用するためには、定期的な点検が重要です。
主な確認項目には、
・フィンの汚れ
・フィンの破損
・腐食
・冷温水の漏れ
・配管やバルブの状態
・冷温水の入口・出口温度
・冷温水の流量
・ドレン排水
などがあります。
設備の仕様や用途に応じて、適切な点検・清掃を行います。
コイルを選定するときに考えること
コイルを選定するときには、主に次のような条件を確認します。
・必要な冷却能力・加熱能力
・空気の風量
・空気の入口温度
・必要な出口温度
・冷温水の入口温度
・冷温水の出口温度
・冷温水の流量
・許容される圧力損失
・設置スペース
これらの条件をもとに、必要な熱交換性能を持つコイルを選定します。
よくある疑問
Q. コイルとは何ですか?
A. 空気と冷水・温水・冷媒などの間で熱交換を行い、空気を冷却・加熱するための熱交換器です。
Q. 冷却コイルと加熱コイルの違いは何ですか?
A. 冷却コイルは空気から熱を奪って冷却し、加熱コイルは水や蒸気などの熱を空気へ与えて加熱します。
Q. コイルはどこに使われますか?
A. AHUやFCUなどの空調機器に使用されます。
Q. コイルと冷温水にはどのような関係がありますか?
A. 冷温水をコイルへ流し、空気との間で熱交換することで冷房・暖房を行います。
Q. コイルと電動弁は関係ありますか?
A. 関係があります。電動弁でコイルへ流れる冷温水の量を調整することで、空調能力を制御できます。
Q. コイルが汚れるとどうなりますか?
A. フィンなどに汚れが付着すると、熱交換性能が低下したり、空気側の圧力損失が増えたりする可能性があります。
Q. 冷却コイルで水が発生するのはなぜですか?
A. 湿った空気を露点温度以下まで冷却すると、空気中の水分が結露するためです。発生した水はドレンパンなどから排水します。
Q. コイルとフィルターは関係ありますか?
A. 関係があります。フィルターでほこりなどを捕集することで、コイルへの汚れの付着を抑えることができます。
関連用語
・AHU
・FCU
・冷温水
・電動弁
・風量
・ポンプ
・DDC

