BACnet/IPとは?空調・中央監視で使われる通信方式をわかりやすく解説

通信・ネットワーク

BACnet/IPとは?

BACnet/IPは、建物の自動制御や監視に使われる通信プロトコル「BACnet」を、IPネットワーク上で利用する方式です。空調設備のDDCや中央監視システムなど、対応する機器同士の情報交換に使われます。

例えば、DDCが取得した温度や設備の運転状態を、Ethernetを利用したネットワーク経由で中央監視システムへ送る構成があります。

BACnetとBACnet/IPの違い

用語意味
BACnet建物設備の自動制御・監視に使われる通信プロトコル
BACnet/IPIPネットワークを利用してBACnet通信を行う方式

BACnetは通信プロトコル全体の名称で、BACnet/IPはその通信方式の一つです。BACnetには、BACnet/IPのほかにBACnet MS/TPなどの方式もあります。

BACnetとは?も参照してください。

BACnet/IPの仕組み

BACnet/IPでは、Ethernetなどのネットワーク基盤とIP通信を利用して、対応機器間で設備情報をやり取りします。

構成例は次のとおりです。

温度センサー
↓
DDC(計測値の取得・設備制御)
↓ BACnet/IP通信
Ethernet・IPネットワーク
↓
中央監視システム

この構成では、DDCが現場設備の制御を行い、中央監視システムが複数の設備情報を集約して表示・管理します。設備構成によっては、ゲートウェイや追加のネットワーク機器を介する場合もあります。

Ethernetとは?も参照してください。

BACnet/IPでやり取りする情報

情報の例利用目的
温度・湿度室内環境や設備の状態を確認する
運転・停止状態設備が運転中か停止中かを把握する
設定値対応機器の設定内容を確認する
警報情報異常や注意が必要な状態を把握する
制御出力や開度対応機器の制御状態を確認する

取得・操作できる情報は、機器が公開しているデータや仕様、システム側の設定によって異なります。BACnet/IPに対応しているだけで、すべてのデータを取得したり、すべての機器を遠隔操作したりできるわけではありません。

BACnet/IPとModbus TCPの違い

BACnet/IPとModbus TCPは、どちらもIPネットワーク上で利用できる通信方式ですが、通信プロトコルやデータの扱い方が異なります。

項目BACnet/IPModbus TCP
主な用途建物の自動制御・設備監視計測機器や産業機器などのデータ通信
データの扱いオブジェクトなどを使って設備情報を表現するレジスタやコイルなどを使ってデータを扱う
利用例DDCと中央監視システムの連携電力計などからのデータ取得

どちらを使用するかは、接続する機器の対応状況や必要な機能、システムの設計によって決まります。

Modbusとは?も参照してください。

BACnet/IPの接続で確認するポイント

  • 接続する機器がBACnet/IPに対応しているか
  • IPアドレスやサブネットなどのネットワーク設定が適切か
  • 必要な通信がファイアウォールなどで遮断されていないか
  • 機器が必要なデータや機能を公開しているか
  • 異なるIPネットワーク間で通信する場合、ルーターやBBMDなどの構成が適切か
  • 通信だけでなく、取得値や状態表示が正しく設定されているか

BACnet/IPでは、IPネットワークの設定に加え、BACnet固有の通信条件も関係します。特に異なるサブネットをまたぐ構成では、機器の仕様やネットワーク設計を確認することが重要です。

通信できないときの確認例

症状確認する項目
機器が見つからないIPアドレス、ネットワーク接続、BACnet機器の設定
一部のデータが表示されない機器が公開するデータ、監視側の登録・設定
別ネットワーク間で通信できないルーティング、ファイアウォール、BBMDなどの構成
値は表示されるが操作できない書き込み対応、権限、機器側の制御条件

原因を切り分ける際は、ネットワーク疎通だけでなく、BACnetの設定や機器が対応する機能も順番に確認します。実際の設定変更は、設備の運用ルールやネットワーク管理者の指示に従ってください。

よくある質問

BACnet/IPはインターネットを使う通信方式ですか?

必ずしもインターネットを利用するわけではありません。建物内の閉じたIPネットワークで利用する構成も一般的です。

同じLANにつながっていれば通信できますか?

同じLANに接続されていることは一つの条件ですが、それだけで通信できるとは限りません。機器の対応状況やIP設定、BACnetの設定なども確認が必要です。

BACnet/IPを使えばメーカーが異なる機器も接続できますか?

異なるメーカーの機器を接続できる場合があります。ただし、必要なデータや機能が双方で対応しているかを確認する必要があります。

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